コラム

棉を紡ぎながら

  • トヨタ産業技術記念館

    2016-12-09|

    綿繰りや糸紡ぎを制服姿で実演するお姉さんもパンチがありましたが、最も驚かされたのはトヨタグループの創始者 幕末生まれの佐吉さんです。

     

    繊維の方向を揃えることが、織機自動化の上でこんなにも必要な事なのかと驚かされました。綿繰りされた状態のコットンが糸紡ぎされるまでに、全長20メートルぐらいある機械の中で揺らされたり伸ばされたりを繰り返し、やっとで紡ぐところに行き着くのだなと。機械に任せるとなると繊維の方向を徹底して整える必要があることを知りました、と同時に整ってなくても若干の微調整を感覚で出来る人間の手には感動です。

     

    発明は高機から始まり、納得の行く自動織機が出来るまでに36年間を要し、その間何十台もの織り機を創り続けたことが凄いです。経糸と緯糸のスムースで効率的な動きのことを36年間考え続けたことが。特に経糸が切れると直ぐ止まる機能が凄いのです。これは特許とのことで、しかも現行モデルです。。

     

    また吊り編み機ならぬ吊り織り機がありました。初めて見ましたがメカニズムがスペイシーなのです。シャトルの形状、綜絖の動き、きっと地球の衛星 月がモチーフになっているに違いない。。これは期間限定で入場券買わなくてもエントランスで見ることができます。

     

    http://www.tcmit.org/information/news/2016/11/9100

     

    しかも10年に一度の縦糸交換がイベント化されているなどかなりの変態です。。さらに驚きなのが当時これが実用化されなかったという事実。この螺旋型織機は1分間に1センチしか織れないので採用されなかったという、、いいじゃんカッコいいし、と思うのでした。。

     

    これらの名品たちは展示してあるだけではなく、全て動くんです(たぶん)。メンテナンスも芸術的です。手作業と機械化、正反対のようで同じなのだなと思いました。機械を作っているのは人間の手です。入念に幾度も開発や試験を繰り返し、手の延長を機械に託し大量生産を担う、そんな時代だったんですよね。職人のクラフトが脚光を浴びてみたり、人間の欲するところは巡り続けるのでしょう。

     

    実はトヨタには色々思うところや思い出がたくさんあります。昔、上京を目的に仮面就職した会社で組み上げた機械をトヨタ工場(豊田市)に納品したことがあります。

     

    カムシャフトに焼入れする大型機械だったと思います。鉄が赤透明にあるまで熱しそのまま超絶冷却を繰り返し鉄を強化していきます。磨耗の激しいパーツには必ず必要な工程なのです。新入社員として入社、数ヶ月後のことです。よく俺なんかに任せんなぁと思ったものですが、自身で組み上げた機械があのトヨタでトヨタとして働くのかと感心したものです。

     

    試験を終え無事納品完了した時は嬉しかったなぁ、というのは覚えていません。。前職の広告プロダクションではカローラの企画制作をしたり、工場ではないブランド・マーケティング部門とのお仕事でした。メディアを通じて波及するので面白さはありましたが、男っぽいカッコよさで言えばやはり工場ですね。無口で無愛想に黙々と機械を作りたい。でも本当はちょっと寂しいかも。。まぁどうでも良いのですが、トヨタの奥深さに触れた気になりました。

     

    そいえば金属加工の点で言えば田中貴金属にも機械納品に行きました。入念に掃き掃除するふりをして砂金集めしたことを思い出しました。。時効ですから、、続きはまた今度。